今のあたしは幸せなのかなぁ?
大好きだよ。
初めてこんなに好きになった人。
だけど、どんどん降り積もるこの気持ちはなんだろう?
もっと
あたしが初めてこんなにも恋焦がれた人は、
銀色の柔らかい髪の毛を持つ人で。
雪のように真っ白な肌を持つ人で。
三番隊隊長という肩書きを持つ人で。
気持ちが読めない瞳を持つ人だった。
あなたは今、何を考えてるの?
「、どないしたん?」
ぼーっと縁側に座るあなたの背中を見ていたから、いきなり振り向いたあなたに吃驚した。
目をまん丸にしたあたしにあなたは微笑みかける。
あなたのそれがあまりにも柔らかくて、優しい笑顔だったから、あたしもつられて微笑んだ。
「・・ギンのこと、考えてたの。」
「ふーん。愛されてんなぁ、ボク。」
「うん、愛されてるわぁー。」
「・・・30点やね。まだまだまるっきしダメやなぁ。」
あなたの独特なイントネーションを真似ると、嬉しそうに笑うあなたが好きよ。
100点をもらえるまであなたの言葉を真似れるようになる日は来るのかしら?
「なぁ、。こっち来いひん?桜が綺麗やで。」
すっと立ち上がってあなたの隣に座り込む。
隣に座ると頭をぽんぽんっと叩き、あたしの髪にその細くて長い指先を滑り込ませる。
あなたに触れられたところから幸福感が満ちてくる。
「ほんとだ。すっごく綺麗ね。」
目の前の桜は春の日に照らされて、美しく咲き誇っていた。
風に揺らされてひらひらと舞い落ちる花びら。
それを見ていて、ふっと物悲しい気分になる。
「・・こんなに、こんなにも美しいのに散ってしまう。」
「桜はすぐに散ってまうから美しいんやろ。」
あなたのその言葉がいやに心に響く。
あなたとの日々はとても美しくあたしの目に映るの。
それは、いつか散ってしまうからかな?
「さっ、ご飯でも食べに行こか?」
あなたはそう言って立ち上がり、あたしに手を差し伸べる。
その手をとって、あたしも立ち上がる。
「ねぇ、ギン。ぎゅってして?」
あたしは両手を静かにあなたに向けて上げる。
「なんや?甘えたさんやなぁ。」
幸せそうにくすくす笑うあなたが好きよ。
すぐにぎゅっと抱きしめてくれる。
あなたの体温。
あなたの匂い。
ふわっと、あなたが体中に満ちていく。
「・・あたしのこと好き?」
確かめずにはいられなくて。
訊かずにはいられなくって。
何度も何度も口に出してしまう陳腐な質問。
「好きやのうて、愛しとるよ。」
その言葉を耳にするたび、幸せすぎて泣きたくなる。
ねぇ、でもほんとは何を考えているの?
あなたは何を背負っているの?
日に日にあなたを好きになって。
好き過ぎて恐いの。
あたしはあなたをいつか失ってしまうの?
「もっとぎゅっとして。」
「ほんまに、は甘えたさんやなぁ。」
言葉を受けてあたしを抱きしめる腕の力が少しだけ強くなる。
「・・もっと。」
幸せすぎて恐いんだ。
何度体を重ねたって。
何度愛してるって言われたって。
もっと、もっと、もっと、もっと・・・。
もっときつく抱きしめて。
あたしの不安が逃げ出すように。
この幸せが永遠になるように。
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季節はずれなのは気になさらないで下さい;
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。2007年1月18日。
photo by 七ツ森